食の安全と安心の最適化への取り組み ~神戸大・東大共催、当NPO後援より~ (2011年10月16日)

神戸大学食の安全・安心科学センター・東京大学食の安全研究センター共同開催フォーラム
「食の機能性・安全性、そして安心を科学する」(2011年9月1日-2日、神戸市産業振興センター)より

□■ 「食の安全と安心の最適化への取り組み」 □■
 NPO食の安全と安心を科学する会 理事長 山崎毅

食の安全と安心を脅かす問題はとどまるところを知りません。想定外の自然の驚異と利潤を追求し続ける市場の中で、
あいまいな規制とあふれる科学情報に右往左往するマスコミと消費者。そんな状況で食品情報におびえる一般市民を
私は「フード・インフォマフィラキシー(食品情報過敏症)」と呼んでいます。
今回のフォーラムでは、飲食物の放射能汚染問題を例に、食のリスク情報に関して一般市民にバイアスが生じる原因が、
必要以上に厳しすぎる暫定規制値と現状の科学情報を誤って理解するマスコミにあると説明しました。
将来的にガンや先天異常が発生するかもしれないという「恐ろしさ因子」と「未知性因子」に満ちたリスク・イメージを
マスコミに植えつけられた一般市民は、どんなに少量の放射能汚染も容認しないくらい怖がっています。
しかし、実際今回の飲食物の放射能汚染レベルがどの程度健康影響があるかを定量的に比較分析すると、図1のとおり、
我々の身の回りに存在する発がんリスクと比べてはるかに低レベルであり、出荷停止になった飲食物ですら人体への健康
影響は全く心配する必要がなかったということがよくわかります。もっと和牛を食べておけばよかった、と後悔していませんか?
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図1 (クリックで拡大表示します)

食品安全委員会の放射線専門委員会でも、生涯被曝レベルとして100ミリシーベルト以下は健康影響がないと最終的に
結論づけました。

今回のような事故を教訓として、これから起こりうる食の安全と安心を脅かすものを「想定内」にできるようなリスク管理が
求められます。そのためには、あいまいな科学情報を引き起こさないような先見性に満ちた食の安全の研究推進と、今回
のように食品の安全を脅かす問題が発生した際のリスクコミュニケーションの手法(食の安心の研究)を確立しておくことが、
「食の安全と安心の最適化」への道と考えられます。
その中で、NPOのような市民団体が、一般市民の立場にたった使命感をもつと同時に、科学者にも劣らない専門性をもつ
ことで、「食の安全と安心の最適化」に果たすべき社会的役割は大きいと考えており、消費者はもちろんのこと、産官学に
とっても非常に有益な事業活動が展開できるものと確信します。
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図2 (クリックで拡大表示します)

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