食のリスクコミュニケーション・フォーラム2025 第2回:『培養肉のリスクとベネフィット』(6/21)開催速報

食のリスクコミュニケーション・フォーラム2025
『市民のリスクリテラシ-向上につながるリスコミとは』
第2回テーマ:『培養肉のリスクとベネフィット』(6/21)開催速報

【開催日程】2025年6月21日(土)13:00~17:00
【開催場所】東京大学農学部フードサイエンス棟中島董一郎記念ホール+オンライン会議(Zoom)ハイブリッド開催
【主  催】NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS)
【後  援】消費者庁、東京大学大学院農学生命科学研究科
【賛助・協賛】キユーピー株式会社、旭松食品株式会社、カルビー株式会社、
   株式会社セブンーイレブン・ジャパン、日本生活協同組合連合会、サラヤ株式会社、
   日本ハム株式会社、東海漬物株式会社
【参加費】3,000円/回、学生は1,000円/回
*SFSS会員、後援団体(先着1~2 名程度)、メディア関係者(取材の場合)は参加費無料

3人の専門家より、それぞれのテーマに沿ったご講演をいただいた後、パネルディスカッションでは参加者からのご質問に対して活発な意見交換がなされました。

【プログラム】

13:00~13:50 『細胞培養による食品の現状とその安全性の考え方』
五十君 靜信(学校法人東京農業大学 食品安全研究センター長/総合研究所教授)
13:50~14:40 『培養肉は人々にどう受け止められるのか:意識の国際調査の紹介』
日比野 愛子(弘前大学人文社会科学部/教授)
14:40~15:30 『“Cultivated”という選択:新規食品の用語をめぐる国際的合意と消費者理解』
洪 貴美子(GFI Japan マネージングディレクター)
15:30~15:50 休憩
15:50~17:00 パネルディスカッション
『培養肉のリスクとベネフィット』
パネリスト:上記講師3名、 進行:山崎 毅(SFSS理事長)

五十君靜信先生

日比野愛子先生

洪貴美子先生

*講演要旨ならびに講演レジュメは以下のとおりです:

➀五十君 靜信(学校法人東京農業大学 食品安全研究センター長/総合研究所教授)
『細胞培養による食品の現状とその安全性の考え方』

細胞培養による食品の安全性は、製造時の工程管理に加え、使用する細胞株の安全性、培地成分の確認、最終製品に残留する物質の健康影響評価などの検討が求められます。動物など由来生物の食経験の有無や遺伝子操作の有無も安全性評価には求められます。これまでにない製造法であるため、新たなリスクが生じていないかなどを科学的な視点で評価する必要があります。食品ですから消費者の信頼確保も重要です。国際的な規制やガイドラインの整備も必要と考えます。今回は、当該食品の開発の現状に加え、リスク評価の基礎研究として行った鶏由来の細胞を用いた網羅的解析により得られた研究結果などを紹介し、細胞培養による食品の安全性の考え方を整理してみたいと思います。
五十君先生講演レジュメ

➁日比野 愛子(弘前大学人文社会科学部/教授)
『培養肉は人々にどう受け止められるのか:意識の国際調査の紹介』

近年注目を集めている培養肉については、先導的に推進するシンガポール、抑制するイタリアなど、さまざまな政策が見られる。人々がこの新しい食品技術をどのように受容するかの意識調査も数多く行われてきた。リスクやベネフィットの認知に加え、環境意識も培養肉への態度を左右するが、日本では環境というフレームが必ずしも訴求力を持つわけではないことも指摘されている。日本、シンガポール、オーストラリア、イタリア、デンマークで実施した培養肉に関する意識の国際調査を紹介し、地域に即した適切なコミュニケーションのあり方を検討したい。
日比野先生講演レジュメ

➂洪 貴美子(GFI Japan マネージングディレクター)
『“Cultivated”という選択:新規食品の用語をめぐる国際的合意と消費者理解』

細胞農業技術により生産される『Cultivated Meat』は、環境負荷の軽減や動物福祉、公衆衛生、食料安全保障への貢献が期待されている一方、新規性ゆえに消費者の不安や誤解も生じやすい。本講演では、GFIが2019年以降に北米・欧州・シンガポール等で実施した調査や業界連携の知見をもとに、「cultivated」という用語が選定・合意されてきた背景を紹介し、リスク認知や受容に与える影響を考察する。また、非英語圏における今後のリスクコミュニケーションの課題と可能性にも触れたい。
洪先生講演レジュメ

*なお、参加者アンケートの集計結果は後日掲載します。

(文責・写真:miruhana)

タイトルとURLをコピーしました