企業や市民団体の食への取り組み

日本発の食品安全第三者認証規格 ― JFS規格の特徴と取り組み

JFSMの理念とJFS規格の位置づけ
 一般財団法人食品安全マネジメント協会(JFSM)は、今年設立10年を迎えました。JFSMは、日本発の食品安全マネジメント規格である「JFS規格」を開発・維持するスキームオーナーとして、食品事業者が食品安全の取組みを無理なく高めていけるよう、現場に寄り添った仕組みづくりを進めてきました。掲げている理念は 「Start Small, Grow Global」です。

JFS規格の特徴と体系
 JFS規格は、食品製造向けの JFS-A/B/B Plus/C 規格と、飲食・外食・フードサービスとその多店舗展開向けのJFS規格(フードサービス/フードサービス・マルチサイト)の6種類があります。食品製造向けの規格はCODEX 食品衛生の一般原則の考え方を踏まえた衛生管理から、世界の大手食品小売・食品メーカーが重視するGFSI(Global Food Safety Initiative)に承認された高度な食品安全マネジメントまで、段階的に取り組める点が大きな特徴です。事業者の成熟度や事業規模に応じて段階的にステップアップでき、将来的にはGFSI承認規格であるJFS-C規格を目指すことができます。いずれの規格も適性製造規範(GMP)・ハザード制御(HACCP)・食品安全マネジメント(FSM)の3つのシンプルな構成要素で、中小企業でも取り組みやすいよう現場に合わせた要求事項で、運用のしやすさを大切にしています。

第三者認証取得の価値
 第三者認証の取得は、社外・社内の双方に大きな価値をもたらします。
 社外に対しては、ステークホルダーからの信頼向上につながり、制度化HACCPへの対応が求められる中、第三者認証の取得は、自社の食品安全管理体制が継続的かつ適切に運用されていることを客観的に示す手段として活用されています。また、第三者による証明は食品安全への取組みを客観的に示すことができ、新規取引や販路拡大、さらには輸出機会の創出にも寄与します。
 社内においては、経営層の食品安全への関与が明確になり、組織全体で継続的に安全な食品を提供するための仕組みが構築されます。事故対応力の向上や食品安全文化の醸成、業務の標準化が進み、クレームや不適合の削減にもつながります。取引先からの二者監査やステークホルダーからの監査対応が軽減される点も、事業者にとって大きなメリットです。
 このように、第三者認証は食品安全の強化だけでなく、組織運営の改善や事業拡大にも寄与する、総合的な価値を持つ取組みです。こうした価値が評価され、JFS規格の取得数は年々増加しています。
 2026年6月末時点で国内外の登録総数は約4,000件となり、食品安全マネジメント規格の一つとして確かな広がりを見せています。

海外展開の進展
 JFS規格は国内にとどまらず、海外展開も進展しています。台湾、ベトナム、タイ、マレーシア、韓国などの関係機関と連携し、相互承認、現地運用、戦略的パートナーシップ、社会的責任分野での協力を推進しています。タイでは、JFS-B/B Plus/C規格が、タイ保健省告示第420号GMP証明書として承認されており、国際的な食品安全マネジメントの共通基盤として活用されつつあります。これらの活動は、日本の食品事業者の海外展開支援と、日本発の食品安全管理の国際発信につながっています。

JFSMの事業者支援
 JFSMは規格の提供にとどまらず、事業者が規格を実務で活用できるよう支援する取り組みにも力を入れています。
 規格ごとに、実務レベルで規格を理解・運用するためのガイドラインを整備しているほか、要求事項を短時間で学べるオンラインショートセミナーや食品安全文化・食品偽装防止・食品防御に関する導入支援ハンドブックを提供しています。これらは多言語で提供し、国内外の事業者が実践しやすい環境を整えています。また、承認研修コースや食品安全要員認定スキームを通じて、食品安全マネジメントを担う人材育成も支援しています。
 さらに、JFS規格の取得を事業者の成長につなげるため、海外市場への理解やPRの機会を提供する活動にも取り組んでいます。現在は、ベトナムの大手小売グループと連携した企画を進めており、現地市場の特徴を知る機会や商品紹介の場を提供しています。

社会的責任への取り組み
 食品安全に加え、組織統治、人権、労働慣行、環境など、社会的責任への取組みも重要性を増しています。JFSMは自己評価ツールである「SSCAP(持続可能サプライチェーン評価プラットフォーム)」や「適合証明スキーム」を開発し、食品事業者の包括的な信頼性向上を支援しています。

JFSMが目指す姿
 JFSMが目指す姿は「Improve Food Integrity ― 食の信頼性を高める」活動への貢献 です。現場に寄り添い、「導入しやすさ」「分かりやすさ」を継続的に高めながら、今後も国内外の食品事業者とともに、より信頼されるフードチェーンの実現に取り組んでいきます。設立10周年を迎えた現在、JFSMは食品安全に加え、食品安全文化や社会的責任といった分野への取り組みも推進しています。これからも日本発の食品安全マネジメントスキームオーナーとして、食品事業者の持続的な成長と食の信頼性向上に貢献してまいります。

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