【テーマ】『市民の食の安全・安心につながるリスコミとは』
【開催日程】2017年6月25日(日)13:00~17:50
【開催場所】東京大学農学部フードサイエンス棟 中島董一郎記念ホール
【主催】 NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS)
【後援】 消費者庁、東京大学大学院農学生命科学研究科附属食の安全研究センター、一般社団法人
食品品質プロフェッショナルズ
【参加費】 3,000円/回
*SFSS会員、後援団体(団体あたり先着5名まで)、メディア関係者は参加費無料
3人の専門家より、それぞれのテーマに沿ったご講演をいただいた後、パネルディスカッションでは
会場の参加者からのご質問に対して活発な意見交換がなされました。
【プログラム】
13:00~14:00 『保健所における食品衛生指導上のリスクを考える』
笈川 和男(元神奈川県食品衛生監視員)
14:00~15:00 『食肉の食品衛生上のリスク』
相馬 成光(日本ピュアフード株式会社品質保証室)
15:00~15:20 休憩
15:20~16:20 『流通における食品衛生上のリスクの重要性』
岸 克樹(イオン株式会社品質管理部)
16:20~17:50 パネルディスカッション
『市民の食の安全・安心につながるリスコミとは』
進行:山崎 毅(SFSS)、パネラー:各講師
18:00~19:30 懇親会
笈川和男先生
相馬成光先生
岸克樹先生
*講演要旨ならびに講演レジュメは以下のとおりです:
① 笈川 和男(元神奈川県食品衛生監視員)
『保健所における食品衛生指導上のリスクを考える』
食の安全は食糧の安全と食品の安全に分けられる。食品の安全を担当する自治体の機関として保健所があり、食品の安全を担保する職員として食品衛生監視員が配属されています。37年間保健所に勤務した者として、行政現場から見た食品衛生指導上のリスクを、次の3事項を中心に説明します。①食品衛生法許可対象外の食品製造業(総菜半製品、焼き海苔など)が多い。自治体によっては条例で定めているが、すべてではない。②隠れた飲食起因の健康障害が多い。多くは有症苦情として扱われる。③生食危険性認識の不足(生食信仰)。
②相馬 成光(日本ピュアフード株式会社品質保証室)
『食肉の食品衛生上のリスク』
「焼鳥」はなぜ美味しいのか?という素朴な疑問に対し、人類が食品媒介感染症と戦って蓄積してきた遺伝子の蓄積を感じることができる。食肉を加熱調理してきた長い歴史の中で、最近は生食もしくはそれに近いような調理方法で飲食される事例が増加傾向にある。牛レバー生食禁止の行政措置や牛たたきの規格基準化が進められる一方で、一部地域の食文化として鶏肉の生食も根付いている実態もある。一方で食肉摂取の栄養的メリットは高く、消費者の食肉関連食材やメニューおよび摂取形態も多様化している。見えにくい食肉のリスクに、どのように消費生活を適合させていくのがベターか、話題を提供したい。
③ 岸 克樹(イオン株式会社品質管理部)
『流通における食品衛生上のリスクの重要性』
多様な商品を扱う小売のサプライチェーンは広く、長く、複雑である。また、エンドユーザーとの接点である店舗は、リスクコミュニケーションの要衝としての役割を担っている。店舗、バイヤー、物流、さらにはサプライヤー等が一体となって初めて、流通におけるリスクを封じことが出来るといえる。 最新の取組例や東日本大震災でのリスク対応事例を通じて、イオンがどのようにその責任を果たそうとしているかを紹介し、流通業の役割について再発見、再議論するきっかけとしたい。
*なお、参加者アンケートの集計結果は後日掲載します。
(文責:miruhana、写真撮影:森嶋 繁徳)