食のリスクコミュニケーション・フォーラム2017第1回:『リスコミ手法のあり方を議論する』(4/23)

【テーマ】『市民の食の安全・安心につながるリスコミとは』
【開催日程】2017年4月23日(日)13:00~17:50
【開催場所】東京大学農学部フードサイエンス棟 中島董一郎記念ホール
【主催】 NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS)
【後援】 消費者庁、東京大学大学院農学生命科学研究科附属食の安全研究センター、一般社団法人食品品質プロフェッショナルズ
【参加費】 3,000円/回
*SFSS会員、後援団体(団体あたり先着5名まで)、メディア関係者は参加費無料

3人の専門家より、それぞれのテーマに沿ったご講演をいただいた後、パネルディスカッションでは会場の参加者からのご質問に対して活発な意見交換がなされました。

【プログラム】

13:00~14:00 『専門家と一般市民をつなぐリスクコミュニケーションの手法』
加納 寛之(大阪大学大学院人間科学研究科)
14:00~15:00 『リスクの合理的判断に関わる個人要因:リスクリテラシー、ニューメラシー、批判的思考』
伊川 美保(京都大学大学院教育学研究科)
15:00~15:20 休憩
15:20~16:20 『食品安全のリスクアナリシスにおけるリスクコミュニケーションの過程』
山口 治子(国立医薬品食品衛生研究所)
16:20~17:50 パネルディスカッション
『市民の食の安全・安心につながるリスコミとは』
進行:山崎 毅(SFSS)、パネラー:各講師
18:00~19:30 懇親会

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加納寛之先生

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伊川美保先生

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山口治子先生

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*講演要旨ならびに講演レジュメは以下のとおりです:

① 加納 寛之(大阪大学大学院人間科学研究科)
『専門家と一般市民をつなぐリスクコミュニケーションの手法』

リスクコミュニケーションの目的は、専門家が科学的知見を伝達しリスクについての理解を促すことだけではなく、異なる意見を持つ人々との間で信頼を醸成することにあると指摘されてきた。しかしながら、専門家と一般市民とではリスクの捉え方が異なるため、議論が噛み合わないことがしばしば見受けられる。こうしたコミュニケーションのすれ違いを解消するためには、リスクという概念が含意する多様な意味と影響を適切に評価し、それらを統合していく作業が大切である。本講演ではリスクに対する様々な価値観をいかに整理・比較するのかという視点から、専門家と一般市民が共通の土台で議論をするための方法論を検討したい。

加納先生講演レジュメ/PDF:232KB

伊川 美保(京都大学大学院教育学研究科)
『リスクの合理的判断に関わる個人要因:リスクリテラシー、ニューメラシー、批判的思考』

様々なリスクに晒される現代社会では、リスクを理解し合理的に判断するためのリスクリテラシーの教育が重要である。しかし、市民は感情に基づいてリスクを知覚する傾向にあり、リスクを合理的に判断することの難しさが懸念される。そこで発表者は、リスク教育に寄与する知見を得るため、リスクの合理的な判断に関わる個人要因について検討した。その結果、リスクの確率的な表記を理解するニューメラシーと、客観的で偏りのない態度を意味する批判的思考態度が、リスクリテラシーの主要な構成要素であると示された。本フォーラムでは、ニューメラシーや批判的思考態度がリスク教育にもたらす効果について、コーヒーや加工肉という身近な食品を題材に報告する。

伊川先生講演レジュメ/PDF:1.4MB

③ 山口 治子(国立医薬品食品衛生研究所)
『食品安全のリスクアナリシスにおけるリスクコミュニケーションの過程』

食の安全は、国際的にも国内的にも、リスクアセスメント、リスクマネジメント、リスクコミュニケーションから成るリスクアナリシスの枠組みに基づいて管理されている。最近、リスクコミュニケーションが様々な文脈において使われているが、マイケルリンデル博士によれば、リスクコミュニケーションはリスク管理行動や制御行動に基盤を置いて進めるべきとする。しかし、それだけではなく、リスクが何か、どの程度なのかといった客観的な評価なしにはリスクコミュニケーションはできない。すなわち、リスクコミュニケーションは、リスクアナリシスの枠組みの一環として進めることが重要であると考える。このような観点から、いくつかのリスク研究の成果を紹介し、お話を進めてさせていただく。

山口先生講演レジュメ/PDF:593KB

*参加者アンケート集計結果(PDF/258KB)

(文責、写真撮影:miruhana)

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