遺伝子組換え作物の安全性について

Q(消費者):遺伝子組換え作物(GMOs)が健康によくないという情報は、科学的に正しいのでしょうか?

A(SFSS):現時点で遺伝子組換え作物が非遺伝子組み換え作物と比較して安全性に問題があるという信頼できる科学的証拠はありません。

先日、5月17日に米国科学アカデミーは遺伝子組み換え作物の安全性に関する包括的レポート(20年間の文献情報やインタビュー情報を388ページにまとめた)を公表し、GMOsはヒトや動物の健康に対して害がないと結論づけた。ノースカロライナ州立大学のFred Gouldを議長とする委員会による記者会見や質疑応答の模様は、Web動画で閲覧いただきたい:

https://nas-sites.org/ge-crops/

これを受けて、ニューヨークタイムズ紙も、「遺伝子組み換え作物は安全!分析調査によりわかったこと」とする見出しを掲載した:

・New York Times (May 17,2016)
http://www.nytimes.com/2016/05/18/business/genetically-engineered-crops-are-safe-analysis-finds.html?_r=0

USA todayのサイトも同様、このレポートを大きく報じた:

Academies of Science finds GMOs not harmful to human health (USA today May,17,2016)
http://www.usatoday.com/story/tech/2016/05/17/gmos-safe-academies-of-science-report-genetically-modified-food/84458872/

米国でのアンケート調査においても、消費者の57%がGMOsの安全性に問題ありと回答しており、食品のラベル表示に関する法律も州によって厳しくなりつつあったが、今回の米国科学アカデミーの発表がどの程度消費者の不安を払拭できるか、注目されるところだ。

GMOsの安全性に問題がある(発がん性など)とのネット情報もよく見かけるが、実験系の設定に問題があったり、明らかに自然発症の腫瘍を写真に撮って、いかにも発ガン性がGMO投与群にのみ発生しているかのごとく報告するスタイルは、とても信頼できる科学的証拠とは言えないものばかりだ。

このような科学バイアスの問題については、当会のフォーラムにて何度か議論しており、東京大学名誉教授の唐木英明先生に解説いただいたので、ご参照いただきたい:

◎食の安全と安心フォーラムXII『食のリスクの真実を議論する』(2016.2.14.)より
「遺伝子組み換え作物」唐木 英明

http://www.nposfss.com/cat7/forum12_genetically-engineered%20plant.html

だいたいにおいて、これら遺伝子組み換え作物の安全性について、GMOsを使用する地域では奇形が多いなどという、まったく因果関係が明確でない不可思議なストーリーをでっちあげる方々が、一様に自然食品を販売しているグループだというのも、社会から厳しく糾弾されるべき不公正な商取引きではないかと疑うところだ:

◎ 『リスク認識をゆがめる”マーケティング・バイアス”』
[2016年2月17日水曜日]

http://www.nposfss.com/blog/marketing_bias.html

なお遺伝子組換え食品に関してご不明な場合は、
厚生労働省のホームページをご参照ください。

(文責:山崎 毅)

[2016年5月24日/作成]

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