食のリスクコミュニケーション・フォーラム2023 第2回:『トリチウム処理水のリスコミのあり方』(6/25)開催速報

食のリスクコミュニケーション・フォーラム2023
『消費者市民のリスクリテラシー向上につながるリスコミとは』
第2回テーマ:『トリチウム処理水のリスコミのあり方』(6/25)開催速報

【開催日程】2023年6月25日(日)13:00~17:00
【開催場所】東京大学農学部フードサイエンス棟中島董一郎記念ホール+オンライン会議(Zoom)ハイブリッド開催
【主  催】NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS)
【後  援】消費者庁、東京大学大学院農学生命科学研究科
【賛助・協賛】キユーピー株式会社、旭松食品株式会社、カルビー株式会社、
株式会社セブンーイレブン・ジャパン、日清食品ホールディングス株式会社、
日本生活協同組合連合会、サラヤ株式会社、日本ハム株式会社、東海漬物株式会社
【参加費】3,000円/回、学生は1,000円/回
*SFSS会員、後援団体(先着1~2 名程度)、メディア関係者(取材の場合)は参加費無料

3人の専門家より、それぞれのテーマに沿ったご講演をいただいた後、パネルディスカッションでは参加者からのご質問に対して活発な意見交換がなされました。

【プログラム】

13:00~13:50 『トリチウムの生体影響について:科学的な視点から』
田内 広(茨城大学理学部教授)
13:50~14:40 『福島の処理水は「特別」なのか』
井内 千穂(フリージャーナリスト)
14:40~15:30 『処理水報道に見るメディアの分断を考える~記者はどこまで自由か』
小島 正美(元毎日新聞編集委員)
15:30~15:50 休憩
15:50~17:00 パネルディスカッション
『トリチウム処理水のリスコミのあり方』
パネリスト:上記講師3名、 進行:山崎 毅(SFSS理事長)

田内広先生

田内広先生

井内千穂先生

井内千穂先生

小島正美先生

小島正美先生

*講演要旨ならびに講演レジュメは以下のとおりです:

➀田内 広 (茨城大学理学部教授)
『トリチウムの生体影響について:科学的な視点から』

2021 年に日本政府は、福島第一原子力発電所にたまり続ける「ALPS 処理水(トリチウム以外の放射性物質を規制レベル以下まで除去した水)」の海洋放出を決定しました。放出にあたっては、トリチウム水が規制濃度の40分の1になるまで ALPS 処理水を事前に希釈することになっており、現地でその施設整備が進む一方で、風評への懸念は解消できていません。風評の解消には社会学的・経済学的な対策が重要ですが、トリチウムの生体影響に関する科学的な理解も必要です。この講演では、学術論文として報告され、ある程度の検証を経た科学的な情報をもとに、トリチウムの生体影響について概説します。
田内先生講演レジュメ

➁井内 千穂 (フリージャーナリスト)
『福島の処理水は「特別」なのか』

処理水について、「科学的には安全とされても風評被害が懸念され、地元漁業者が猛反対」という報道が続くが故に、誤解と風評被害を招いている。多くの消費者は根拠の有無を判断する手立てが限られているからだ。まずは、かつて O157 食中毒事件や BSE 騒動の折に報道を受けて不安な感情のままに行動し、結果的に風評被害に加担していた消費者としての自分を“懺悔”したい。そして、震災後の福島の状況を自分の目で見て、地元の方々や福島を訪ねた若者たちと交流する中で自分の意識がどう変化したかを振り返り、科学的根拠を直接判断できなくともリスクを受けとめるための条件を考える。
井内先生講演レジュメ

➂小島 正美 (元毎日新聞編集委員)
『処理水報道に見るメディアの分断を考える~記者はどこまで自由か』

処理水の最大の懸念は「風評被害の発生」だと、どの主要新聞も書いている。しかし、風評被害を少しでも解消しようとする記者の意欲は記事からは伝わってこない。なぜだろうか。その背景には主要な新聞の分断がある。読売・産経の2社と朝日・毎日・東京・共同通信の4社は見解がはっきりと対立した形になっている。NHKは割と中立的だ。そのような実態を報道事例を通じて伝えたい。媒体ごとに見解が固定しているため、もはや「記者の自由」はないに等しい。読者に忖度する記事ではなく、記者自身がもっと自由に書ける言論空間をめざしたい。
小島先生講演レジュメ

*なお、参加者アンケートの集計結果は後日掲載します。

(文責・写真:miruhana)

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