牛肉の放射能汚染は心配無用。 全頭検査不要。

[2011年7月13日水曜日]

福島県南相馬市産の牛肉から国の暫定規制値を越える放射性セシウムが検出された問題が報道されている。
南相馬市の6頭の牛からとられた牛肉は、首都圏の食肉業者を通じて全国8県および首都圏に流通しており、すでにその牛肉を食した消費者もいる可能性が高いとのことで、衝撃が走った・・

今回発覚した放射能汚染肉だが、最高で暫定規制値の7倍にのぼる放射性セシウムが検出されたと報道されている。現在厚生労働省が発表している飲食物中の放
射性セシウム暫定規制値は500ベクレル/kgなので、問題となった牛肉から最高約3500ベクレルが検出されたということであろう。
(追記:後に、最高約4500ベクレル/kgが検出されたとの報道あり)

ちなみにこの3500ベクレル/kgの牛肉を100g人間が食べたら、どの程度の被爆になるかご存知であろうか?

たった0.005ミリシーベルトである。
(追記:4500ベクレルとすると0.006ミリシーベルトになる)

これは東京からニューヨークへ飛行機で片道飛んだだけであびる被爆量の0.1ミリシーベルトの20分の1にあたる。

もし毎日この牛肉を食べ続けたとしても、年間たった1.8ミリシーベルトで、年間自然被爆放射線量とほぼかわらない程度の被爆量である。

食品安全委員会のホームページに今回の原発事故関連の飲食物放射能汚染情報が常時更新されているので、そちらを参照されたい。
http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/emerg_genshiro_20110316.pdf

もともと我々人体の中にも放射性物質が常時存在するのをご存知であろうか?
必須ミネラルのカリウムの中には放射性カリウム40が含まれ、我々の体内に常に3000~4000ベクレルの放射性カリウムが存在するという。

今回みつかった牛肉1kg分の放射性物質は常にわれわれの体内にあるのだ。
本当にそんな少ない量の放射性物質が健康に悪影響を及ぼすのか?

ウォールストリートジャーナルJapanのHPより:
http://jp.wsj.com/Japan/node_272246

原発事故調査・検証委員を務める放射線医学総合研究所の研究員、柿沼志津子氏はウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し、今回検出された水準は1年
間毎日大量に摂取し続けた場合に健康上の懸念が生じる程度だと指摘し、日本の食事スタイルでは問題になる可能性が低いと述べた。1度や2度食べてもあまり影響はないという。

6月26日に東京大学農学部フードサイエンス棟で開催された「食の安全と安心フォーラムシリーズ第3回」で山崎が発表した内容の概略を本ブログに掲載しているので、今回みつかった程度の放射能汚染に関して健康への悪影響は全く心配ないということをご理解いただきたい:
⇒ 詳細はこちら

牛肉をはじめ、スポットでの流通食品の放射能検査はモニタリングという意味で必要であろう。
しかし国民の税金をつかっての全頭検査は全く不要である。

BSEのときと同じ過ちをおかすことになってもよいのだろうか?
結局、まったくBSEなど発症しなかったのに、甚大な額の税金が投入されて、
科学的に全く無意味な「安心」がもたらされただけだったように思う。
本当に牛肉の安全性に問題が生じる可能性が出てきたら、そのときに再度検討するべきと考える。
やはり現在の暫定規制値があまりにも厳しすぎるのではないか?
放射性セシウムであれば、20倍程度の10,000ベクレル/kg を越えたら、市場に出回らないようにするくらいで十分と考えるのは、自分だけであろうか?

追記(2011.7.15.):
7/15のニュースでは福島県淺川町農家の稲わらで高濃度の放射性セシウムが検出されたとして、その稲わらを餌として供していた肉牛42頭が出荷されたという。こちらも、実際出荷された牛肉の放射性セシウム濃度が判明しておらず、そちらの追跡調査の結果が待たれるところである。ただ、こちらも上記のとおり、実際の人体の被爆量に換算するときわめて低くなることが予測されることから、冷静な対応が必要であろう。

K

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