食のリスクコミュニケーション・フォーラム2019
『消費者市民の安全・安心につながる食のリスコミとは』
第3回テーマ:『メディアからの食のリスコミのあり方~市民のリスク誤認をどう解消する?』 (8/25)開催速報
【開催日程】2019年8月25日(日)13:00~17:50
【開催場所】東京大学農学部フードサイエンス棟 中島董一郎記念ホール
【主 催】NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS)
【後 援】消費者庁、東京大学大学院農学生命科学研究科附属食の安全研究センター
【協 賛】一般社団法人食品品質プロフェッショナルズ
【参加費】3,000円/回
*SFSS会員、後援団体(先着1~2名程度)、メディア関係者(取材の場合)は参加費無料
3人の専門家より、それぞれのテーマに沿ったご講演をいただいた後、パネルディスカッションでは会場の参加者からのご質問に対して活発な意見交換がなされました。
【プログラム】
13:00~14:00 『メディアが広げる誤情報 課題は記者のリテラシー向上?』
平沢 裕子(産経新聞)
14:00~15:00 『「伝える」から「伝わる」へ ~行動変容を目指す情報プレゼンの極意、教えます』
市川 衛(NHK)
15:00~15:20 休憩
15:20~16:20 『なぜ科学者は市民に負けるのかーメディア・バイアスの実態とその対処法』
小島 正美(元毎日新聞)
16:20~17:50 パネルディスカッション
『メディアからの食のリスコミのあり方~市民のリスク誤認をどう解消する?』
進行:山崎 毅(SFSS)、パネラー:各講師
18:00~19:30 懇親会
*講演要旨ならびに講演レジュメは以下のとおりです:
①平沢 裕子(産経新聞)
『メディアが広げる誤情報 課題は記者のリテラシー向上?』
フェイクニュースは、何らかの意図を持って作られた嘘のニュースだが、誤情報はそうとは限らない。書いた記者はまじめに取材し、デスクも内容が間違っていることを理解できないから記事として掲載されるし、誤情報とは思わないからいい記事が書けたと思っていることも多い。その結果、風評被害で泣く人がいても、自分が書いた記事が悪いとは思ってもいないだろう。しかし、SNSが発達し、誰でも情報の発信者となれる今、状況は変わりつつある。日本で起きた風評被害の事例を検討しつつ、食のリテラシー向上のためにこれから何をすればいいのか考えたい。
②市川 衛(NHK)
『「伝える」から「伝わる」へ ~行動変容を目指す情報プレゼンの極意、教えます』
SNS 上の医療・健康情報に関して、投稿された記事の「数」自体は根拠に基づいた適切なものが大部分にもかかわらず、読まれ拡散されやすいのは圧倒的に「誤解を生む」もののほうである、ということが複数の研究で示されています。SNS・ネット時代の今後、情報発信において論点とすべきは「どんな情報を『伝える』か」から一歩進んで「どうすれば『伝わる』のか」、さらに、「どうすれば情報の受け手にシェアという『行動』を起こしてもらえるのか?という点に変わっていくのかもしれません。情報流通のツールが多様化し続ける今後の発信の在り方について考えます。
③小島 正美(元毎日新聞)
『なぜ科学者は市民に負けるのかーメディア・バイアスの実態とその対処法』
なぜ、新聞やテレビ、週刊誌の記事、ニュースはゆがむのか。なぜ、メディアは多数のまっとうな科学者の声を読者・視聴者に届けようとしないのか。なぜ、メディアは非科学的な情報を流すのか。なぜ、メディアは間違った報道を訂正しようとしないのか。子宮頸がんワクチンや遺伝子組み換え作物、ゲノム編集食品、食品添加物などの事例を基にメディアがバイアスに満ちた情報を流す背景、からくりに迫る。メディアが作り出すニュースの構図は過去 50 年間変わっていない。中高年しか読まなくなった新聞の信頼性を取り戻すために、いま何をすべきか。読みたい新聞とはどういうものかを考えてみる。
*なお、参加者アンケートの集計結果は後日掲載します。
(文責・写真撮影:miruhana)