「新型コロナ:マスクに予防効果なし」理論の弊害

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[臨時号:2020年3月16日月曜日]

WHOや米国CDCが「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対してマスク着用は予防効果なし」と主張しています。

テレビのワイドショーやネットでも、私は感染症に詳しいんですというお医者さんたちが「マスク着用は感染者がウイルスを他人にうつさないためにするもので、もともと予防効果はないんです。マスクでウイルス感染予防などと非科学的なことを言ってはいけない!」などと、よく言われてますね。

マスクをつけない文化が浸透しているラテン諸国では、いま悲惨なことになっているのはご存知でしょうか。イタリアではもう1000人以上が亡くなったとのこと。「マスクに予防効果なし」などと不用意な発言をして、本当に大丈夫ですか?

「マスクに予防効果なし」とWHOがいうから、マスクを着用せずに普通に会話していたのに・・ 健康そうに見える不顕性感染者がツバ=飛沫を飛ばしているのだから、マスクで防御しなかったら、そりゃ目・鼻・喉の粘膜に付着して、一瞬で感染しますよね。隣の人が咳をしたら「肘マスク」でよけましょうって、そんな曲芸無理ですって・・

「マスクに予防効果なし」と言っているお医者さん自身が、新型コロナ感染の疑いのある患者さんを診察して、PCR検査用の粘液を採取するときには、必ずマスクしてますよね?自分はマスクで防護するのに、市中感染が広がってどこに感染者がいるかわからない市民に対して、「マスク不要」っておかしくないですか?

電車に乗っていて目の前に立っている乗客が新型コロナ感染者かどうかわからないのに、どうやってマスク着用の是非を判断するんですかね?市民にむけて、できないような指示をしてはいかんでしょ。

マスクは他人にうつさないためのもの、って言われて、素直にマスクをつける無症状の感染者がどれだけいるのかも疑問です。蒲郡の感染者のように陽性とわかってもウイルスを拡散するヒトすらいるのに。自分自身や家族を未知のウイルスの感染リスクから少しでも守りたいからこそ、予防行動のモチベーションになるんです。他人のためではヒトは動かない。

「医療機関ではマスクがなくて困っているんです。だから一般市民は予防のためのマスクはやめてください」って、病院の方でマスクの備蓄など、危機管理をするのは当然でしょ。政府や自治体に対して依頼するならまだしも、医師が市民にむけてマスクを使うなとは、おかしくないですか?むしろマスク着用を薦めるべきですね。

そもそも、新型コロナウイルスに対して「マスクに感染予防効果なし」って、そんなエビデンスはあるんでしょうか?インフルで文献情報ありとききましたが、なぜインフルで感染予防できないなら、新型コロナでもNGと言えるのか?

インフルの場合、接触感染が原因となるケースが多いので、手洗いの方がマスク着用よりもはるかに効果的であり、市販のマスクによる飛沫感染防止効果は有意でないということかと思います。新型コロナもインフルと感染形態がまったく同じとなぜ言えるのでしょうか?

ライブハウスであれだけ多くのウイルス伝搬が起こったのは、本当に接触感染が主な原因と言えるのでしょうか? もし飛沫感染もかなり寄与しているとすると、マスク着用により直接飛沫を吸い込むところを、それなりにブロックできれば、リスク低減効果は期待できるはずです。

対面で営業活動をする事業体の場合、ひとりでも従業員に感染者が出てしまうと、2週間過去にまでさかのぼって、マスク着用履歴をチェックされますので、「マスク不要論」のビジネスリスクは意外に大きいですよ。

ほかにも一般市民に対して、マスク着用は不要と言ってしまったら、手洗いや消毒もルーズになるのでは?感染予防活動は、シンプルかつ簡潔に守ってもらえる3点くらいをセットで提示すべきです:①外出時はマスク着用、帰宅したら着脱、②手洗いまでは顔に触らない、③消毒薬を活用、などなど。

スポーツ・イベントやエンターテイメントも早く自粛解除して、ファン/観客が感染予防マナーをしっかり守ることです。感染リスクを決める主な要因は、場所や環境ではなくヒトなんです。

以下のQ&Aで野田衛先生が提唱される「集団予防」を、ぜひ市民の皆さんには励行してもらいたいと思います:

◎新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防法について
http://www.nposfss.com/cat3/faq/covid-19.html

【文責:山崎 毅 info@nposfss.com

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