【テーマ】『消費者の食の安心につながるリスコミを議論する』
【開催日程】2016年10月30日(日)13:00~17:50
【開催場所】東京大学農学部フードサイエンス棟 中島董一郎記念ホール
【主催】 NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS)
【共催】 一般財団法人社会文化研究センター
【後援】 消費者庁、東京大学大学院農学生命科学研究科食の安全研究センター
【参加費】 3,000円/回
*後援団体関係者、SFSS会員、メディア関係者は参加費無料
3人の専門家より、それぞれのテーマに沿ったご講演をいただいた後、パネルディスカッションでは会場の参加者からのご質問に対して活発な意見交換がなされました。
【プログラム】
13:00~14:00 『食品防御 対策編』
広田 鉄磨(関西大学 特任教授、(一社)食品プロフェッショナルズ 代表理事)
14:00~15:00 『食品由来ハザードのリスク認知の特徴と双方向リスクコミュニケーションモデル』
新山 陽子(京都大学大学院 教授)
15:00~15:20 休憩
15:20~16:20 『不安な消費者にむけての”やさしい”リスコミのコツ』
山崎 毅(NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS) 理事長)
16:20~17:50 パネルディスカッション
『消費者の食の安心につながるリスコミを議論する』
進行:山崎 毅(SFSS)、パネラー:各講師
18:00~19:30 懇親会
広田鉄磨先生
新山陽子先生
山崎理事長(SFSS)
①広田 鉄磨(関西大学 特任教授、(一社)食品プロフェッショナルズ 代表理事)
『食品防御 対策編』
2015年4月の 「フードディフェンス上のリスクがなぜ極大化して伝えられるのか」では日本の食品防御が如何に形作られてきたかを振り返り、監視カメラ偏重の傾向が歴然としていること、しかしながら監視カメラの犯罪抑止効果には大きな疑問があることをのべました。 今回の「対策編」では 最近のFSMAの動きにも配慮しながら 日本での食品防御のあるべき姿を探ります。端的に申し上げますと、テロというスケールの犯罪には対処のしようもなく、いわゆる悪意ある混入程度までの個人による犯罪に対策を集中していくことが妥当であろうという結論に至りました。そのため対策の多くは企業風土の改善に頼ることになります。
<広田先生講演レジュメ/PDF:569KB>
②新山 陽子(京都大学大学院 教授)
『食品由来ハザードのリスク認知の特徴と双方向リスクコミュニケーションモデル-放射性物質の健康影響』
2011年福島第一原子力発電所事故から5年がたちましたが、まだ住民の人たちの暮らしや農産物の取り扱いが元に戻っていません。
さまざまな事故のリスクに対して、専門家のリスク評価が科学的な知見にもとづいてなされ、一般市民のリスク評価は主観になされるため、両者の間にときに大きなギャップが生まれることが知られています。では、食品に対するリスク知覚にはどのような特徴があるのか、とくに放射性物質の食品を介した健康への影響のリスクについてはどうかを、調査の結果をもとにお話しします。
事故によって放出された放射性物質に対して市民の間に大きな不安が生まれ、必要とする情報の不足がそれをより大きくしましたが、このような緊急事態の時にどのようなリスクコミュニケーションを行えば、市民にとって納得のゆく状態が得られるのか。新しい双方向のリスクコミュニケーションモデルを開発し、実証を行いましたので、その結果についてお話しし、リスクコミュニケーションのあり方を一緒に考えてみたいと思います。
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<新山先生配付資料(講演レジュメの一部)/PDF:1.47MB>
③山崎 毅(NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS) 理事長)
『不安な消費者にむけての”やさしい”リスコミのコツ』
食品のリスク管理責任者が消費者にリスク情報を伝達する際に大切なことは、消費者のリスク認知の特徴を社会心理学的に学び、当該消費者にとっての健康リスクの大小を正確に理解できるようなコミュニケーション手法を習得することだ。①食品中ハザードのリスク評価が綿密にできているか、②その健康リスクが当該消費者にとって許容範囲かどうか、この2点を伝えれば消費者自身が安全か否かの判断ができるはずだが、不安な消費者へのリスコミはそう容易ではない。消費者のリスク認知バイアスを逆手にとった”やさしい”リスコミのコツを参加者の皆様と議論したい。
<山崎理事長講演レジュメ/PDF:2.44MB>
*なお、参加者アンケートの集計結果は後日掲載します。
(文責:山崎 毅、写真撮影:miruhana)