食のリスクコミュニケーション・フォーラム2024 第2回:『食のリスクに対する認知バイアスにどう取り組む』(6/23)開催速報

食のリスクコミュニケーション・フォーラム2024
『消費者市民の安全・安心につながるリスコミとは』
第2回テーマ:『食のリスクに対する認知バイアスにどう取り組む』(6/23)開催速報
【開催日程】2024年6月23日(日)13:00~17:00
【開催場所】東京大学農学部フードサイエンス棟中島董一郎記念ホール+オンライン会議(Zoom)ハイブリッド開催
【主  催】NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS)
【後  援】消費者庁、東京大学大学院農学生命科学研究科
【賛助・協賛】キユーピー株式会社、旭松食品株式会社、カルビー株式会社、
株式会社セブンーイレブン・ジャパン、日清食品ホールディングス株式会社、
日本生活協同組合連合会、サラヤ株式会社、日本ハム株式会社、東海漬物株式会社
【参加費】3,000円/回、学生は1,000円/回
*SFSS会員、後援団体(先着1~2 名程度)、メディア関係者(取材の場合)は参加費無料

3人の専門家より、それぞれのテーマに沿ったご講演をいただいた後、パネルディスカッションでは参加者からのご質問に対して活発な意見交換がなされました。

【プログラム】

13:00~13:50 『食の基準値を通して考える、リスクとの向き合い方』
小野 恭子 (産業技術総合研究所安全科学研究部門 研究グループ長)
13:50~14:40 『食の安全性に対する専門家と一般市民のリスク認知の特徴』
山口 治子 (愛知大学地域政策学部 教授)
14:40~15:30 『食のリスクに対する認知バイアスの修正:不安の低減と批判的思考の促進』
楠見 孝 (京都大学大学院教育学研究科 教授)
15:30~15:50 休憩
15:50~17:00 パネルディスカッション
『食のリスクに対する認知バイアスにどう取り組む』
パネリスト:上記講師3名、 進行:山崎 毅(SFSS理事長)

小野恭子先生

山口治子先生

楠見孝先生

*講演要旨ならびに講演レジュメは以下のとおりです:

➀小野 恭子(産業技術総合研究所安全科学研究部門 研究グループ長)『食の基準値を通して考える、リスクとの向き合い方』

食にまつわるリスクとリスクのトレードオフについて、基準値を通して考える機会としたい。食のリスクは、究極的には美味しさや文化的豊かさとのトレードオフで決まっているはずである。ここでは村上ら(2014)講談社ブルーバックス「基準値のからくり~安全はこうして数字になった~」の中から第一章「消費期限と賞味期限」にある例を中心に、食品の基準値がどのような科学的根拠や社会的背景に基づいて設定されたかについて解説する。食品包装とプラスチックリサイクルとの関係や、食品ロス問題なども多面的に取りあげる。「消費期限や賞味期限は、どのような種類の安全や豊かさを担保していることになるのか?」を知り、個々人や社会において、食で大事にすべきことは何か、を語り合う一助になれば幸いである。
小野先生講演レジュメ

➁山口 治子(愛知大学地域政策学部 教授) 『食の安全性に対する専門家と一般市民のリスク認知の特徴』

これまでのリスクコミュニケーションの失敗の要因の一つに,専門家と一般市民のリスク認知バイアスの存在があげられている.Slovic は,リスクの捉え方には技術的パラダイム,心理学的パラダイムそして社会学的パラダイムがあるとし(Slovic, 1986,FAO/WHO 2006),安全管理は技術的パラダイムで,リスク認知は心理学的パラダイムでリスクを捉えているとする.本フォーラムでは過去の様々な食品安全問題におけるリスクコミュニケーションの失敗を踏まえながら,専門家と一般市民のリスク認知の特徴について述べ,両者のリスク認知バイアスを改善するには,リスクアナリシスの枠組みの拡充とそれに基づいたリスクコミュニケーションが重要であることについて議論する.
山口先生講演レジュメ

➂楠見 孝 (京都大学大学院教育学研究科 教授)『食のリスクに対する認知バイアスの修正:不安の低減と批判的思考の促進』

多くの人がとらわれてしまう認知バイアスとは何か。なぜ生じるのか、どのようにしたら修正できるのかを、食のリスクをテーマにして、認知心理学の立場から紹介する。第1 に、認知バイアスとは何か、なぜ生じるのかを、人の認知と食品リスクの特徴に基づいて捉える。第2 に、批判的思考とは何か、どのようなプロセスでリスク情報を吟味して、バイアスを修正するのかについて述べる。第3 に、バイアスの修正には、不安の低減と批判的思考の促進が重要であることを、福島原発事故後の食品放射能汚染へのリスク認知を例に、直観的-批判的思考の二重システム理論に基づいて検討する。
楠見先生講演レジュメ

*なお、参加者アンケートの集計結果は後日掲載します。

(文責・写真:miruhana)

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