赤城智美
「食物アレルギーYou! 応援プロジェクト」小冊子を制作
食物アレルギーとアナフィラキシーの国際会議は、例年9月か10月に開催されてきた。会期終了後は参加各国から「自国の患者が日本に旅行する予定だがアレルギー対策について何か役立つ情報はないか」という問い合わせが必ず何件か入ってきていた。コロナ禍により会議開催は見送られたが、会議出席のための準備がなくなったことを好機に外国からの旅行者や国内にいる留学生を対象にした「日本のアレルギー表示を解説する資料」や「コミュニケーションツール」を作成したいと思った。かねてから食品工場においてもスタッフの中に様々な国から来た人の割合が増加していることも聞き及んでおり、そうした方々の「食物アレルギーに関する学習資料」としても活用できるのではないかと考え2020年制作に着手した。
残念ながらコロナ禍は短期に解決とはならず、せっかくできた冊子をホテルや観光ガイドのサービスカウンターに置くことはできていないが、大学や食品企業の方々からは少しずつ問い合わせがあり、引き続き普及に努めたいと考えている。当法人Webサイトからダウンロードできるが、多部数のご要望があれば着払いでもお送りしている。冊子自体は無償提供。
コロナ禍のアレルギー用粉ミルクの支援
乳幼児の中には一般的な粉ミルクに対してアレルギーを起こす子どもたちがいる。食物アレルギーと診断され乳成分が含まれていないミルクや、ペプチド分解されたミルクを必要とする子どもたちもいる。
これらの子どもたちが飲むことができるアレルギー用粉ミルクは、子どもの状況に合わせ数種類製造されているが、一般の乳児用粉ミルクに比べ一様に高額で、購入するには1.5倍から2倍の費用が必要になる。産後休業や育児休業に入っていた人の中には、コロナ禍によって職場復帰を拒まれたり、復帰時期を無休で半年間延期するよう会社から迫られたり、産休期間の7割支給の給与を3割に下げられたりした人が全国に多数存在する。パートタイムの日数が5日から1日になった、無期限待機になったという人もいた。その中でも特にひとり親家庭と両親が外国籍の人の状況が深刻なため、各地の小児科や子育て支援センターを通して申し込みを呼びかけるチラシを配布し、昨年7月から今年5月まで延べ約250人の赤ちゃんにアレルギー用粉ミルクを届けた。その中の約半数には数カ月おきの継続支援を行っている。原資は主にコロナ禍支援を目的とした各種財団の短期助成金で、申請・採択・報告を綱渡りのようにしながら活動を継続している。私たちはSDGs17の目標のうち、「貧困をなくそう」「全ての人に福祉を」をテーマに取り組んでいる。日本国内においては今まで貧困が水面下にあり分りにくかったかもしれないが、このコロナ禍により課題が顕在化したのではないかと思う。私たちは今まで以上に緊張感をもって子どもたちの状況を受け止めている。