食のリスクコミュニケーション・フォーラム2016 (4回シリーズ) 第1回 開催速報

【テーマ】『消費者の食の安心につながるリスコミを議論する』
【開催日程】2016年4月24日(日)13:00~17:40
【開催場所】東京大学農学部フードサイエンス棟 中島董一郎記念ホール
【主催】 NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS)
【共催】 一般財団法人社会文化研究センター
【後援】 消費者庁、東京大学大学院農学生命科学研究科食の安全研究センター
【参加費】 3,000円/回
*後援団体関係者、SFSS会員、メディア関係者は参加費無料

3人の先生方より、食のリスクコミュニケーションのあり方について、わかりやすくご講演いただきました。
また、パネルディスカッションでは会場の参加者からのご質問に対して、
演者の先生方からひとつずつ丁寧にご回答いただき、有意義な議論が展開されました。

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吉井正武氏(社会文化研究センター)

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岸本充生先生

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平沢裕子先生

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古川雅一先生

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【プログラム】

13:00~13:05 『開会のご挨拶』
吉井 正武(一般財団法人社会文化研究センター常務理事)

13:05~14:05 『食の安心に資するための基準値はどうあるべきか』
岸本 充生(東京大学公共政策大学院)
14:05~15:00 『メディアから見た食の安全』
平沢 裕子(産経新聞東京本社)
15:00~15:20 休憩
15:20~16:00 『リスク情報の伝え方を考える』
古川 雅一(東京大学食の安全研究センター)

16:00~17:40 パネルディスカッション
『消費者の食の安心につながるリスコミを議論する』
進行:山崎 毅(SFSS)、パネラー:各講師
17:50~19:20 懇親会

*講演要旨ならびに講演レジュメは以下のとおりです:

①岸本 充生(東京大学公共政策大学院 特任教授)
『食の安心に資するための基準値はどうあるべきか』

消費者が食の安心を得るためには基準値の存在は不可欠である。しかし、基準値未満であるので安全という単純な説明は、基準値を上回った際に即、危険という認識につながる。基準値といっても、一日許容摂取量と個別食品の残留農薬基準値ではその意味は全く異なる。また、遺伝毒性を持つ発がん性物質のような「閾値のない物質」の場合、どのように基準値を決めるべきか、また決められない場合はどのように安全・安心を説明するべきか、まだ十分に定まっていない。こうしたことから、食の安全に関わる様々な基準値の意味や根拠を事業者,行政,消費者,マスメディアが共有しておくことが社会のリスクリテラシーを高めることにつながると考えられる。
岸本先生講演レジュメ/PDF768KB

②平沢 裕子(産経新聞東京本社編集部文化部 記者)
『メディアと食の安全』

マスコミにはジャーナリズムとエンターテインメントという2つの顔がある。テレビのワイドショーや雑誌記者はエンターテインメントに加え、センセーショナルな話を狙って報道する。そのかっこうのネタとなってるのが、食の危険をあおる情報だ。
新聞も、センセーショナルまでいかないが、エンターテインメントを求めた記事が少なくない。農薬をまったくつかわないでおいしいリンゴを作ったという「奇跡のリンゴ」の話など感情に訴える記事は、社内の評価が高くいい記事と言われる。科学的に正しいかはあまり問われない。それは、科学的な評価ができる人が新聞社内ではかなり少ないことも関係している。
また、食の評論家を名乗る人たちが安全について正しい知識を持っているかといえばそんなことはない。そうした人たちの間違った知識からくる情報が垂れ流しになっている実状もある。メディアが食の安全をどう伝えているか、私自身の経験談を踏まえ考えたい。

平沢先生講演レジュメ/PDF823KB

③古川 雅一(東京大学食の安全研究センター 特任准教授)
『リスク情報の伝え方を考える』

人間は、毎日、様々な意思決定を行っています。たとえば、スーパーマーケットに行ったとき、陳列されている商品をみて、味や価格の妥当性、安全性などについて、商品の外装に記載された情報や事前に入手している情報、これまでの経験などをもとに判断を行い、購入するかどうかを決定しています。ただ、このような意思決定が必ずしも合理的に行われているとは限りません。人間には情報の捉え方にバイアスがあり、不合理な意思決定が行われていることが多々あるのです。本フォーラムでは、人間の不合理性について解説するとともに、消費者へのリスク情報の伝え方を考えたいと思います。

講演アンケート結果/PDF390KB

(文責:山崎 毅、写真撮影:miruhana)

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