旭松食品株式会社

 旭松食品は1950年の創業以来、「品質第一」、「参画経営」、「自主挑戦」を経営理念とし、食を通じて社会に貢献することを目指しています。弊社は「こうや豆腐」のメーカーです。和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、和食の重要性が見直されました。私どもの使命として、こうや豆腐と原料となる大豆を和食の中心的な存在として、その価値を守り続けていくことです。
「こうや豆腐」「大豆」を通して、「人と地球の健康」に貢献したいと考えております。

【こうや豆腐】
 ところで、皆さんは「こうや豆腐」と言えばどのようなイメージをお持ちでしょうか?
 スポンジ状の和食で「おせち」や「太巻き」「海苔巻き」などの巻きずしのイメージ、あとは精進料理などではないでしょうか。昔に比べて登場シーンが減っているかもしれません。最近SDGsの達成方法の一つとして、「代替肉」「プラントベースドミート」が認知されつつあります。「こうや豆腐」はそれらの「先駆け」だと我々は考えます。タンパク質の供給源であり、独特のスポンジ構造から、味染みが良く、いろいろなメニューに取り入れることが出来ます。

【人の健康】
 このようなこうや豆腐ですが、近年様々な機能があることが判りつつあります。「食後血糖値の上昇抑制」1)、「HbA1cの低下」2)、運動と組み合わせることでの「慢性炎症抑制」3)、「食後血中中性脂肪の上昇抑制」4)などが報告されています。これらのメカニズムはこうや豆腐の製造過程で出来てくる難消化性のタンパク質「レジスタントプロテイン」が関与しているのではないかと考えています。胆汁酸との結合能がある事、食物繊維と同様の働きがあることからではないかと推察しております。詳しいことは、まだわかっておりませんが、今後の詳細な検討が必要です。

【地球の健康】
 また、こうや豆腐製造においていくつか副産物が出ます。「粉豆腐」「おから」「汚泥」などです。
 「粉豆腐」は現在も販売地域が地元を中心にしておりますので、長野県以外の方にはなじみが無いかもしれません。もともとは藁で編んだ縄紐(なわひも)に吊るして乾燥させており、そこに残った粉が「もったいない」という事で、地元のみで消費されておりました。現在では、わざわざ大きな「こうや豆腐」を粉砕して製造しております。我々の先輩は、創業当時よりフードロスの削減に取り組んでおりました。(「製造ラインに残った粉を集めているのですか?」などの質問を受けることもありますが、衛生上廃棄しております。)ご存じない方が多いと思います。どのようなものであるか?利用方法?などは弊社のホームページでご確認ください。https://www.asahimatsu.co.jp/
「おから」も大変利用価値の高い産物です。食用(人が食べる)「おから」と家畜飼料としての「おから」を生産しております。弊社のおからパウダーでは、食後血糖値の上昇抑制効果5)があることがわかりました。家畜飼料としてのおからは、免疫賦活効果のある納豆菌6)で発酵させてあります。地元農家様などでご利用いただいており、肥育牛(肉用牛)では良い成績を収めております。工場から排出されます「汚泥」は木質原料(ウッドチップ)と混ぜて発酵させ、汚泥発酵肥料「ソイバイオソイル」として販売しております。地元では、この肥料を用いてASIAGAP認証の大豆の栽培生産を進めております。この大豆でこうや豆腐を生産、つまり「循環型農業」を行い、販売しています。まだまだ始まったばかりですが、「地域循環型社会」が出来つつあります。
 このように、「こうや豆腐」とその「副産物」で、「人の健康」への貢献、そして循環型社会を構築することによる「地球の健康」と向き合っていきたいと取り組んでおります。今後とも持続可能な社会の実現のために、健康的な食生活に貢献できる活動に努めてまいります。

1)『薬理と治療』vol48 pp1589-1594(2020)
2)『薬理と治療』vol47 pp1363-1366(2016)
3)J Physiol Sci. Publish online(2017)
4)『薬理と治療』vol42 pp359-362(2014)
5)『薬理と治療』vol48 pp989-992(2020)
6)日本農芸化学会大会講演要旨集 p182(2010)
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